綿菓子は売れ行きがいいらしく、ストックしていた綿菓子はもうなかった。
「今作りますんで、待っててもらえますか?」
浴衣姿の女が言う。
「はい」
笑顔で答える梨加。
「秋桜ー!綿菓子一つ追加!」
「はーい」
え…秋桜…?
俺の思考回路が少し停止する。
屋台の奥にある綿菓子機の所に、浴衣姿の秋桜の姿があった。
「…理音?」
不思議に思った梨加が、俺の顔を覗いてくる。
でもそんな声も、俺の耳には入らなかった。
ただ奥の秋桜の姿を見る。
「今理音って言った?やっぱり理音くんなの?」
「えっ?理音くん?」
「きゃー!!!何でいるの?」
