「梨加がいるから」
俺は腕に絡み付いてくる、早紀の腕をほどいた。
「私は一人でブラブラしてるし大丈夫。2人で回ってきたら?」
梨加の言葉に、早紀は一瞬表情を曇らせたものの、俺を笑顔で見つめる。
「それじゃ一緒に来た意味がねぇだろ」
「そうかな?」
「早紀、悪いけど梨加を一人にする訳には行かねぇから」
俺は早紀を諭すように言った。
「……わかった」
早紀は梨加を睨みつけ、帰って行った。
「あの子、気強いね」
「あぁ、酷くなったかもな」
前まではあんな風じゃなかったのに。
俺がいなくなって、変わってしまった。
ベタベタしたこともねぇし、あんなにブリッ子するような奴じゃなかった。
