君に触れたくて…





はぁ…

俺は小さく溜め池を漏らした。



先輩達は“上手くやれよ”と俺に目で合図を送る。



なにを上手くやれっつんだよ…




俺は荷物をまとめ、出口へ向かった。



後ろからひょこひょこと着いてくるうざい女。




「…じゃあお先です」



「さよならー♪」




女はさっきの涙は嘘のように、明るい笑顔を振りまいていた。




店を出たあと




「…捕まっちまったか」



「高橋大変だろうな」



「あの子、自分が気に入った人は逃がさないからな」




そんな会話がなされていたなんて、俺は知るはずもなかった。