美月が帰ったあと、俺は梨加に促され風呂に入った。
「ごめんね、お姉ちゃんが」
「梨加が謝ることじゃねぇ。流された俺も悪い」
俺がもっと理性を保っていれば、こんなことにはならなかった。
「小さい頃からなの」
「ん?」
「お姉ちゃんは、あたしの大切な物や人をすぐに奪う。大事にしてた腕時計も、あたしの親友のアリサちゃんも、初彼の聡くんも…」
俺は泣きそうになる梨加を優しく抱き締めた。
「…俺はお前の傍にいるから」
「……」
「何があってもお前を守る」
「…ッグス…」
「約束する」
俺は自分自身にも言い聞かせた。
梨加を守らなきゃいけない。
梨加を守ると、あの日俺は誓ったんだ。
