梨加は水を一杯持ってきてくれ、背中をさすってくれた。
そんな梨加に、俺は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「あんた、早かったのね」
なんの悪気もないのか、美月は煙草を吸い、梨加に向かってそんな言葉を吐き捨てた。
「どういうつもり?」
梨加もさすがにキレている。
「もう少しで理音を手に入れられたのに」
「ふざけないでよ!!お姉ちゃんは昔からそう、あたしの大切なものを奪っていく!聡くんだって…理音だって…いい加減にしてよ!!」
聡…?
なんで聡を知ってんだよ。
「おい」
俺は美月を鋭く睨みつけた。
「どういうことか説明しろ」
美月は渇いた笑いをこぼし、一呼吸置いて話し始めた。
