君に触れたくて…





俺は早紀の手を引き、その場を離れた。



早紀もある程度の事情は知っている。




「大丈夫?理音」



「大丈夫だよ」




俺は自分の感情を消すかのように、早紀の髪をワシャワシャと撫でた。




「あぁ!せっかくセットしたのにぃ」



「ワハハっ」






後々美月がまた、悪魔の微笑みを見せることを、この時の俺は、まだ知らずにいた。