君に触れたくて…





「理音っ!」



いきなり抱きついてくる女。



俺の頭は?でいっぱい。
隣の早紀も不思議そうなな顔をしている。




「あたしよ?覚えてないの?」



「え…」




俺の目の前にいるのは、紛れもなく…




「美月……」







「おぉー!!」



グラウンドの中心では、選抜の男子たちが神輿を担ぎ、盛り上がっている。



そんな中、静寂に包まれる空間。


無理矢理美月を引き離す。




「なに?なんか、用?」



俺は冷めた目で美月を見下ろした。




「あたしやっぱり理音のこと…」




「ざけんな!俺の親友裏切っといて…」




隣の早紀は、俺が声を荒げたことに驚いている様子だ。




「親友…?あぁ、聡のこと?」




美月はふっと鼻で笑い




「あの時も言ったよね?聡はあなたに近づくための、ただの道具よ」



「………っ…」




俺は煮えたぎる怒り、憎しみ、悲しみを、堪えるのに必死だった。



こんなクズになに言ったって、なにも変わりはしない。