君に触れたくて…





「お待たせっ」




ちょうど智樹が去ったのと同時に、
準備を済ませた早紀がやって来た。




「あぁ、行くか」




煙草の火を消し、立ち上がる。




「綿菓子食べたいなぁ」




この声は早紀じゃない。



というか、早紀が綿菓子なんて言葉を出すはずがない。



俺は後ろを振り向いた。




「…あきお…」




ゆきと手を繋ぎ、俺の前を幸せそうに通りすぎる2人。



胸がチクリと傷んだ。



幸せそうな秋桜の顔が離れなくて、まともに早紀の話も聞いていなかった。




「理音…?」



「あ?」




聞き慣れない声。


いつものようにダルそうに返事をする。