君に触れたくて…





そして天清祭りの時間。



俺は早紀が来るまで、智樹と時間を潰していた。




秋桜は、ゆきと回るんだろうか。



付き合ってんだから、当たり前だよな…




「なぁ智樹」



「んー?」



「恋愛って上手くいかねぇよな」



「んだよ、急に」




智樹が俺の方を見た時だった。




「智樹くーん」




前から2人、女が小走りで走ってくる。




「やべっ」



そう智樹が言い、急いで煙草の火を消した。




「ねぇ、一緒にお祭り回らない?」



「俺と?」



「うん!」




清純そうなやつと




「じゃぁあたしはここで」




一人でスタスタと戻っていく、気の強そうな女。


なんともアンバランスだ。




「いや~俺にも春が来たよ!
じゃっ!理音、そういう事で♪」




意味の分からない台詞を残し、
智樹は祭りの灯りの中へ姿を消していった。