「――…以上が今年度の新入社員の方達です。
では、簡単に一人ずつ自己紹介をして貰いましょう。」
私にとっては慣例。
でも、毎年新入社員の子が一番緊張する場面だと思う。
こうして皆の方を向いて前に立たされてるだけで、すでにカチコチになってるかわいい女の子。
彼女を見ていると、私にもあんな時期があったのかしら?
なんてぼんやり考えてしまう。
そして自己紹介はどんどん進み、最後の彼の番。
「では、最後ですね。私の直々の部下になります山口望君。お願いします。」
彼を見ながらそう言うと、彼は私を見てにっこり微笑んだ。
――え?!
それから直ぐに前を向き、何事もなかったかの様な顔で淡々と自己紹介を始めた。
「……」
なんだったのかしら?
こっちを向いたのは、偶然?
それとも気のせい?


