「ねぇ、雅?」
社長が突然私を名前で呼ぶ時は、プライベートな話。
「――先輩…また何か相談事ですか?」
そんな時は私も"社長"じゃなく
"先輩"と呼んでいる。
「今日の入社式で、発表して大丈夫よね?」
「――もちろん。全社員が集まる式ですから、一番いい機会だと思いますよ?」
「そう、良かった。雅にそう言って貰えると安心するわ。」
そう言って、先輩はほっとした様に胸を撫で下ろす。
「いいなぁ。正直、とてもうらやましいです。」
「あら、やだ。ふふふ。お先にごめんなさいね?」
恥ずかしそうに笑う先輩は、とても幸せそう。


