内心ソワソワしながら社長の話を聞いていた。
「――ここからはわたくし事ですが……実は、結婚が決まりました。――通常でしたら、わざわざ社員の皆さんを集めて報告する様な話題でもないのですが――相手の方が皆さんよくご存知の方です。
ですから、今日は改めて紹介させて頂きたいと思います。」
社長の言葉を受けて、ホール内がざわつき始める。
チラッと常務を見ると、社長と目配せをしながらゆっくり前に出て来た。
そして二人が同じ位置に並ぶと、常務は社長の腰にそっと手をまわす。
その瞬間、興奮した社員達の歓喜の声が響き渡る。
「ご紹介に預かりました常務の三宅と申します。皆さんに"よくご存知"だと思って頂けると、話がスムーズに進んで助かるのですが?」
常務の言葉でホール内にどっと笑いが起き、皆から祝福の拍手が起きた。
「おめでとうございます。」
「お幸せに〜。」
二人を祝福する声が沢山聞こえ、社長も常務もとても幸せそうに微笑んでいた。


