夕焼けに向かうクラス委員の背中が浮かんだ。

あの日洗いざらい話してくれたクラス委員に俺は今、この上ない現実を突きつけている。


「ごめん…」

「なんで西原が謝るんだよ」

「でも」

「やめろ」


クラス委員は俺の言葉を遮った。


「保坂さんがやったって決まったわけじゃない」


切り裂かれたパネルの前で、クラスの連中が保坂さんに向ける空気が、嫌だった。

だけど俺も疑ってた。

でも保坂さんなら仕方ないかもと思った。


そう思うことでクラスの連中と自分自身を差別化した。


「なぁ西原」

「ん?」

「お前は《あんなこと言ったからだ》って自分を責めるなよ」


素直に返事出来なかった。


しゃがみ込んで、パネルを眺めていた保坂さん。

夏休みの間ずっと気になってたんだろう。

あの日俺を見つけて、教室に行く口実を作った。

きっと彼女は1人で教室に入ることさえ出来なかったのだ。

スケジュールに名前がないと知った日から。