「あるのか、根拠」
クラス委員は俺に圧倒されて
「え…うん、まぁ…」と言葉を詰まらせた。
クラス委員は、ふうと一息つき
少しうつ向いて、顔を上げると同時に、鼻あてを直した。
「切り裂かれてたろ、パネル。
あれ下から上じゃなくて、上から下にばってんだった」
俺は首を傾げた。
クラス委員の言いたいことがちっともわからない。
クラス委員はそれを察したようだった。
「上から下、上から下」と言いながら、指でバツを書く。
「位置的に、保坂さんの身長じゃ合わない気がするんだよな…」
論理的な解説に押されて、俺は切り裂かれたパネルを思い返してみる。
しかし結構ショックだったのもあって、そこまで細かく思い出せない。
「結構高いところから始まって、ゴールが俺の膝より高かったんだよ。
俺らより長身のやつじゃねぇかと」
思い出したのは、食い入るようにパネルを見ていたクラス委員の姿だ。
「立て掛けたままの状態だったのは間違いないんだ。
男数人で抱える重さだからな」
