17-セブンティーン-



何を言えばよかっただろう。

橘さんも保坂さんを疑っているのだろうか。


俺は止まっていた手を動かして、作業に集中することにした。


途中、昼の休憩も挟み、作業の甲斐あって夕方のドラマの再放送には間に合わなかったが、完全下校までに間に合った。


「姉ちゃんいつ来るの」

「もう近くのコンビニで待機してる」


クラス委員は呼び掛けた。


「みんなおつかれ!男子は悪いけど、運び出すとこまで手伝ってもらっていいかな。女子は戸締まり頼むよ」


はーいと返事して、みんな自分の荷物をまとめた。

おつかれ、と挨拶して俺たちはパネルを運び出した。


コンビニにワゴン車が1台止まっている。

運転席からスラッとした女の人が出てきて、後ろを開けてくれた。


「ありがとな、姉ちゃん。助かった」

「正義のためでしょ。いいってことよ」


そして俺たちに「みんなもお疲れ様」と笑顔を向けてきた。

ヤロー全員、顔がニヤけるのは本能。


明日の朝もここからパネルを運ぶ約束をして解散した。

クラス委員は、自分がやらかしたわけでもないのに

何度も「助かった、ありがとう」を繰り返した。