「みんな、腹減ってるとこ悪いな。俺の急な提案に合わせて集まってくれて感謝するよ」
クラス委員はここで一度、頭を下げた。
「明らかに悪意のあるイタズラだとは思うけど、何てことはない。
さっさと済ませて、夕方のドラマの再放送には間に合わせようぜ」
軽いジョークに雰囲気が和やかになり、早速作業を開始した。
画用紙を千切るグループと、貼り付けるグループと分かれた。
俺は貼り付けるグループ。
「に、西原くん」
顔を上げると、千切った画用紙を持った橘さんがいた。
「今日はバイトないの?」
「いや、まだ時間あるし…キリが悪かったら先に帰らせてもらうけど」
「そっか」
彼女は俺の隣にしゃがみこんで、「これ…」と画用紙を渡してくれた。
「ありがと」
彼女は動かなかった。
「ひどいよね」
「え?」
「パネル…こんなことするなんて」
「…」
橘さんはぎゅっと手を握りしめていた。
返事出来ずにいたら、後ろから「咲希~」と呼ばれ、橘さんは返事をして行ってしまった。
