「俺も手伝う。間に合うよ、これ」
これほどまでに、きっぱりさっぱり雲を晴らしたクラス委員の前では、こんなこと何てないことのように思えてしまう。
しっかりしたクラス委員に俺は安心しきって、やっと息が出来るような心地だった。
「助かる」
クラス委員が、眼鏡の鼻あてをくいっと上げてニッと笑った。
そのタイミングてチャイムが鳴り、みんなはこれと言った返事をすることなく自分の席に着いた。
始業式が終わり、放課後。
賢と翔太には期待していなかったが、やはり当たり前のように、朝のクラス委員の提案さえなかったかのように、部活に行ってしまった。
せめて『頼んだ』とか『悪いな』はなくとも『頑張れよ』とか…
まるで他人事な2人に少し残念な気でいた。
教室は俺とクラス委員と、その他なんやかんやで10人ちょい集まった。
橘さんもいる。
「上々だな」
クラス委員は満足そうだ。
満足そうなクラス委員の様子を見て、俺は無駄なことを考えるのはやめることにした。