同じ空間なのに、別世界のようだ。
みんなこっちを向いてくれ。
目の前で起きている出来事と、流れている空気に、頭が真っ白になってついて行けてない自分がいる。
俺は無意識に拳を握っていた。
「締め切りは明日だ」
クラス委員の声に、教室じゅうの視線が再びこちらに戻る。
「幸い今日は始業式のあと放課だ。
破れたとこは後ろから補強して、ペンキの上からもう1回画用紙を貼ろう」
教室がざわついた。
「この分だと明日には間に合う。でも今日完成してまたここに保管するのもちょっと心配だから、俺が責任持って家に持って帰る」
クラス委員の圧倒的な決断力に、再び教室は静かになるが
「ちょっと待て」
俺はクラス委員の肩を叩いた。
「持って帰るって…ハンパじゃねぇぞ?この大きさ」
これ1人で運んでバス乗れねえぞ?
と言おうとしたら
「姉ちゃんに車出してもらう。2番目の姉ちゃんはまだ夏休みだ」
返す言葉はなかった。
ただわかったことがある。
これ以上は愚問だ。
クラス委員に任せて大丈夫だ。