俺達は再び階段を降りた。


「保坂さんも学校来てたんだね」

「うん、まいにち」

「毎日来てんの?」

「いまのところは。ママが仕事のときはきてる」


俺の横で、保坂さんは「あ」と声をもらし
「てづかくんもだよ」と笑った。


思えば、俺が図書室にいたことをわざわざ保坂さんに報告するとは


「2人とも仲良しだな」

「うん、ずっと友だちだよ」


想像してみる。
仲良しの保坂さんと宇宙人…。
ちょっと難しい気がする。

想像つかないうちに、それはすぐ遮られた。


「てづかくん、あんまり、しゃべらないけどね」


立ち止まって、顔を見合わせる。


「そうなんだ」

「うん」


保坂さんは笑いをこらえるように、口元を手で隠した。


…それって友達っていえるのか?
だがそんな保坂さんと宇宙人の距離感なら、容易に想像つく。

やっぱりあいつ、保坂さんの前でもあんな感じなのか。

ということは…

知り合いがいたことを保坂さんに伝えた宇宙人


…あいつってもしかして案外いいやつ?


「どうかした?」

無意識のうちに黙りこんでいた俺の顔を
不思議そうに覗き込んだ。


「いや、なにも」


俺は目をそらしながら返事した。

会いに来てくれた保坂さんもいいやつだ。