17-セブンティーン-



「このゲーム機を買ってやったのは誰だ?」

「…」


陽介の勢いが途端鈍くなる。


「このゲーム機をお前に買ってやったのは誰だ?」


「……ちゃん」

「聞こえねぇ」

「にいちゃん!」


やっと俺が逆らえない相手だと気づいたようだ。


「わかってるじゃねえか。借りにわからなかったとしても、セーブなしで電源を落とすまでだけどな」


陽介は顔が青くなった。


「それはダメ!」


小学生ゲーマーの急所なんて、ゲーマーの道を通らずとも、安易に見抜けるものだ。


「じゃあ言うこと聞けるな?難しいことは言ってねぇぞ」

「…わかったよ」

「あと寝る前にゲーム機は兄ちゃんに渡せよ。お前布団の中でもするだろ」

「…」

「じゃあ責任持ってセーブしてやるから歯磨いてこい」


陽介は立ち上がって洗面所へ向かった。

なんだかんだ言ってもかなり眠そうだ。


一部始終を見ていたお袋が「さすが」と笑った。


「私も寝よっと」


お袋の背中を見送って、俺は流しに食器を片付けに行った。

食器を片付けた後、すぐ俺も床に就くことにしたが、陽介とお袋はすでに寝息をたてていた。