ちゃぶ台には夕飯が用意されていた。
「夏休み明日から?」
「うん」
箸を取って「いただきます」をし、味噌汁をすする。
「バイトは午後よね?」
「うん」
「里香のお迎え頼める?」
「んー…どうにか」
陽介はポータブルゲームをしていた。
音は消しているが、ボタンを押す音がカチャカチャカチャカチャいいまくっている。
「お前も明日から夏休み?」
「……………うん」
夢中だ。
「早く寝ろよ。身長伸びねぇぞ」
「……………うん」
「宿題は全部済ませるのは当たり前だからな?」
「……………うん」
「…兄ちゃん今なんて言ったでしょう?」
「……………うん」
こいつどっから話聞いてないんだ?
俺はゲーム機を取り上げた。
「あーーーー!!!!」
「あーーじゃない!」
やっと俺を見た。
「いいか、いくらでもゲームはしていいけどな、夏休みは宿題はもちろん、家の手伝いもして、せめて10時には寝ろ」
「なんでだよ!夏休みくらい遅くまでゲームさせてくれよ!」
陽介は聞く耳持たない。
しかし臆することはこれっぽっちもない。
こっちには最強の切り札がある。
