17-セブンティーン-



ちゃぶ台には夕飯が用意されていた。


「夏休み明日から?」

「うん」


箸を取って「いただきます」をし、味噌汁をすする。


「バイトは午後よね?」

「うん」

「里香のお迎え頼める?」

「んー…どうにか」


陽介はポータブルゲームをしていた。

音は消しているが、ボタンを押す音がカチャカチャカチャカチャいいまくっている。


「お前も明日から夏休み?」

「……………うん」


夢中だ。


「早く寝ろよ。身長伸びねぇぞ」

「……………うん」

「宿題は全部済ませるのは当たり前だからな?」

「……………うん」

「…兄ちゃん今なんて言ったでしょう?」

「……………うん」


こいつどっから話聞いてないんだ?

俺はゲーム機を取り上げた。


「あーーーー!!!!」

「あーーじゃない!」


やっと俺を見た。


「いいか、いくらでもゲームはしていいけどな、夏休みは宿題はもちろん、家の手伝いもして、せめて10時には寝ろ」

「なんでだよ!夏休みくらい遅くまでゲームさせてくれよ!」


陽介は聞く耳持たない。

しかし臆することはこれっぽっちもない。

こっちには最強の切り札がある。