バイトから帰った夜。
「おかえりー」
「おかえりー」
お袋と陽介の返事。
日付が変わる時間帯、すでに里香は寝ている。
「ただいまー」
靴紐をほどくのも一苦労だ。
「おかえりー」
「うん、ただいま」
居間へ向かうと、パック中のお袋。
「おかえりー」
「た…ただいま」
部屋の隅で、里香がすやすやと眠っている。
起こさないよう、俺は静かに荷物をおいた。
お袋は立ち上がり「ご飯にする?」と聞いてきた。
俺は「いや、先風呂」とだけ答え
蛇口をひねり、水を注いで飲んだ。
あぁ暑い。
俺は制服の長袖シャツを脱いだ。
浴槽に入ると空腹と眠気で、無駄に動きたくなくなって
無駄に長風呂になる。
そのとき
「英治ー開けるわよー」
と同時に風呂場のドアが空いた。
超慌てた俺
「シャンプー切れてたでしょ」
「…」
お袋はシャンプーの容器を手に取り、中身を詰め替えて何事もなかったかのように出て行った。
しばらく硬直していた俺も、風呂から上がった。
