「気分転換だよ。そりゃゴキゲンになるのは当たり前だろ」
賢は「あー腹いてー」とへらへらした。
気分転換…。
じゃあなんだ?賢は本気じゃないのか?
ということは先輩も…?
翔太(と俺)は《納得いかない》という台詞を我慢した顔をした。
午後の授業もあまり頭には残らず、放課後を迎えてしまった。
怪我が治まるまで、ノートは隣の女の子にコピーさせてもらえることになった。
賢はいろんな意味であまりノートを取らない。
必要な分しか取らない。
翔太は全くノートを取らない。
提出のあるテスト前に慌ててるタイプだ。
こういうとき、女の子の存在が大きい。
そしてまたふと
保坂さんのことが頭をよぎる。
そして追っ払う。
案外、家庭教師とか雇ってるかもしれない。
追っ払いきれてない。
今日もあれから戻って来なかった。
保健室にいるのかな。
あのお姫さまのキラキラに感動してるのかな…って
全く追っ払いきれてないぞ、俺。
