賢は俺と翔太の間に割って入り、
「怪我どうなの?」と聞いてきた。
「なに?折ったの?切ったの?剥けたの?」
賢の表現に翔太が苦い顔をする。
「そのカテゴリーに分けるなら、剥けた?火傷した」
「火傷?なんで?料理でもしたのか?」
「バイトでちょっとな」
「あぁ、バイト…」
賢は納得したように頷き、ペットボトルを開けて飲んだ。
翔太が賢に
「飯は?」と聞くと
賢は「もう食った」と短く答えた。
「どこ行ってたんだよ~」
さっきの俺の質問を、今度は翔太がする。
「プラっと」
「わかるように言えよ!」
「いいだろ別に」
賢は適当に流すこともなく、ただ返事を拒否した。
翔太が賢を睨む。
「怪しいんだよ」
「なにが?」
「賢、サボった後いっつもゴキゲンだもんよ!」
翔太は一呼吸おいて続けた。
「女だろ?な?」
「…」
あはははははははっ!
賢は派手に笑った。
「なんだよ!」
翔太の顔がみるみる赤くなる。
「いやー、お前もなんかいろいろ考えんだなって。その回路がとんでもねーけど」
賢は涙を拭った。
