17-セブンティーン-



この席は本当によく教室を見渡せる。


あるところでは、紙切れを回し合い

あるところでは
「あれ何て書いてあるの?」という声が聞こえ

あるところでは、目配せをし合ったカップルがいて

うとうとしながら頬杖ついてるやつもいれば

翔太のようにがっつり寝ているやつもいる。

そんな奴らを観察する人もいて

そんな人を観察している俺がここにいる。


とにかくここは狭くて狭すぎる。

しかしこの小さな世界には、ここに存在する者たちの色んな思惑が絡まり合って

確かな《社会》が築き上げられている。

この小さな世界で上手く呼吸をしようと皆必死だ。


頑張ってるやつもいれば
潰されて戻って来れないやつや
流れに委ねるやつもいるし
変化を求めるやつもいて

世界はここだけじゃないと知っているやつもいる。


どれも間違ってないけど《正しい》とは言い切れない。

不便や不利が発生しても《可哀想》だとは思わない。

なぜなら人には得手不得手があり、ものの耐久性だって違うからだ。