この席は本当によく教室を見渡せる。
あるところでは、紙切れを回し合い
あるところでは
「あれ何て書いてあるの?」という声が聞こえ
あるところでは、目配せをし合ったカップルがいて
うとうとしながら頬杖ついてるやつもいれば
翔太のようにがっつり寝ているやつもいる。
そんな奴らを観察する人もいて
そんな人を観察している俺がここにいる。
とにかくここは狭くて狭すぎる。
しかしこの小さな世界には、ここに存在する者たちの色んな思惑が絡まり合って
確かな《社会》が築き上げられている。
この小さな世界で上手く呼吸をしようと皆必死だ。
頑張ってるやつもいれば
潰されて戻って来れないやつや
流れに委ねるやつもいるし
変化を求めるやつもいて
世界はここだけじゃないと知っているやつもいる。
どれも間違ってないけど《正しい》とは言い切れない。
不便や不利が発生しても《可哀想》だとは思わない。
なぜなら人には得手不得手があり、ものの耐久性だって違うからだ。
