もうひとつ空いた席。
さっきの後ろ姿。
真っ白いシャツに
ぴょんぴょんと揺れるポニーテール。
無意識にペンを回す。
さっきまともな答えをもらえなかった分
いろいろと聞き出したい…なんて野暮な思いもある。
その前に謝るのが先か。
そもそも俺は……
悪いのか?
ペンが手元から転がって、少し派手に音を立てる。
隣の席の女の子が、ちらっと俺を見たのに気がついた。
俺は再びペンを取る。
しかしどうしてもじっとペンを握っているのが落ち着かなくて、やっぱりペン回しを開始してしまう。
そしてまたガチャン!と落とした。
『西原くんどんだけ』
隣の席の女の子が、今度は無視出来ないと言わんばかりの苦笑いを向けてきた。
『わり』
俺は精一杯の笑顔を作って、片手を挙げた。
ふと、その手が利き手で、包帯が巻かれていて
あぁこれか、と
いつものように上手く回せないのは包帯を巻いていたから
もしくは少し火傷のおかげで鈍っているのか…
どのみち今日は調子が悪いと自覚した俺は
ペンを筆箱に戻して、手持ちぶさたな手を組んでみた。
