17-セブンティーン-



もうひとつ空いた席。
さっきの後ろ姿。

真っ白いシャツに
ぴょんぴょんと揺れるポニーテール。


無意識にペンを回す。


さっきまともな答えをもらえなかった分

いろいろと聞き出したい…なんて野暮な思いもある。

その前に謝るのが先か。

そもそも俺は……


悪いのか?


ペンが手元から転がって、少し派手に音を立てる。

隣の席の女の子が、ちらっと俺を見たのに気がついた。

俺は再びペンを取る。

しかしどうしてもじっとペンを握っているのが落ち着かなくて、やっぱりペン回しを開始してしまう。


そしてまたガチャン!と落とした。


『西原くんどんだけ』


隣の席の女の子が、今度は無視出来ないと言わんばかりの苦笑いを向けてきた。


『わり』


俺は精一杯の笑顔を作って、片手を挙げた。


ふと、その手が利き手で、包帯が巻かれていて

あぁこれか、と

いつものように上手く回せないのは包帯を巻いていたから

もしくは少し火傷のおかげで鈍っているのか…

どのみち今日は調子が悪いと自覚した俺は

ペンを筆箱に戻して、手持ちぶさたな手を組んでみた。