17-セブンティーン-



もう一度呼ぼうとして、止めた。

無視されるのは、意外と寂しかった。

授業を途中参加すべく、俺は彼女と反対方向に回れ右し

校舎に向かった。

ずっと彼女の後ろ姿が頭を巡っていた。


こっそりと教室の後ろのドアから入ると、先生と目が合った。

軽く会釈をする。
2時間目は化学だった。


俺の前の席…賢の席は空いていた。

さらにその前の席に座っていた翔太は、早くもがっつり寝る態勢。

しかし俺が入って来たことに気がついて、体を挙げて俺に目配せした。

そしてすぐに寝る態勢に入った。


『翔太、翔太』


翔太はぴくっと体を起こして、軽く回りを見回した。


『翔太』


もう一度呼ぶと、やっと俺と気がつき、振り返って
『なに?』と言わんばかりの顔をした。


『賢は?』

『じゃーねって出てった』

『いつ頃から?』

『さっきの休憩のとき』

『そっか』


俺がこくこくと数回頷くと、翔太も頷いて前に向き直った。


黒板はすぐに追い付ける程度の量だけ埋まっていた。

賢は化学が得意だ。


俺は教科書に線を引き、ふと反対側の窓の外を見た。