17-セブンティーン-



思わず口を開こうとしたら

遠くで授業開始のチャイムが鳴った。


「あ…」


保坂さんの背後、ずっと向こうに見慣れた姿を見つけた。

俺につられて保坂さんも振り返る。

何も見つけられなかった彼女は軽く首を傾げた。


「賢…?」


彼女は俺の一言に反応した。


もう授業中のはずだが

賢は保坂さんほどではないが、ドロップアウト癖がちょっとある。


なんとなく気になって、姿を追って行こうとすると


「…」

「…」

「え…なに?」


鞄を握られていた。

なぜだか彼女は少し困ったような顔をしていた。


「放してくれる?」


俺の一言を聞いて手を放し、彼女は困った顔のままふせてしまった。

そのまま彼女から離れて、

角を曲がって曲がって曲がって追いかけてみると、やっぱり賢のようだ。

名前を呼ぼうとして、やめた。


「賢ちゃん」

「ごめんね、待った?」

「来ないかと思った」


奥から女の子が表れて、お互い腕を腰に回して抱き合っていた。

えーっと…
これってもしかしてもしかするともしかするのか?


「来ないわけないだろ」


賢はその女の子と、さらに距離を縮めて――…


俺、回れ右←

からの冷や汗