朝、学校に遅刻の連絡をし、制服を着て病院へ行った。
朝からぼちぼちお客さんがいて、少し待たされた。
待たされた割りに、診察は簡単に終わり、塗り薬をもらって学校に向かった。
今はちょうど、1時間目の終盤くらいだ。
誰もいない通学路や、静かな校舎がなんとなく新鮮だった。
すると、チャイムが鳴って休憩時間になった。
2時間目の授業なんだっけ…
思いながら校舎に向かうと、視界の端を、人の影が横切った。
反射的に振り返ると、保坂さんだった。
ドロップアウト、したのかな。
とりあえず気づかれる前に行こうとしたら
「にしはらくん」
無視すればいいものの、立ち止まって振り返ってしまった。
そんな俺の腹の中を知らない保坂さんは、笑顔で手を振り小走りで寄ってきた。
「今日、どうしたの?」
なんとなく視線をそらして返事をごまかすと、保坂さんは俺の右手の包帯を見つけて
「けが?」
と心配そうな顔をした。
「いや別に…」
沈黙の刹那に保坂さんは
「あ、この前、プリントありがとう」
と笑った。
