風呂から上がり、包帯を変えようとすると
「…」
「里香」
「なぁに」
「見ない方がいいと思う」
あっち行ってろ、と顎で指示すると、眉毛をハの字にしてくるりと向こうを向いた。
それを確認して包帯をはがす。
「~っ」
やっぱり里香に見せなくてよかった。
思ってたよりひどい。
あー…痛いなぁ…
傷は乾かさずに、潤った状態に保つと痕が出来ずに綺麗に治るらしい。
まぁそんなこと言ったってな。
出来ることは限られてる。
俺は軟膏を指にとって、そっと患部に塗った。
傷口にすごくしみて、涙目になる。
でも、さっきの新人に嫌みを言わなくてよかった。
頑張ってでも笑顔作ってよかった。
食べ物運ぶのって、結構力もいるし、集中するから神経使う。
まだ慣れないから、失敗してもしょうがない。
これは罰が当たったんだ。
放課後の保健室での出来事が頭をよぎる。
やっぱり保坂さんに対する態度は、間違いなく八つ当たりだ。
