悪いことは続くものだ。
「西原くん…大丈夫?」
店長がバツの悪そうな顔をしながら、俺の顔を見る。
まだ仕事に慣れない新人がぶつかってきて、俺が運んでいたアツアツのハンバーグが…
俺の、手に…
利き手に巻かれた包帯を見つめて、ため息が出る。
明日皮膚科行かなきゃなぁ~
平謝りしてきた新人には、大丈夫だと笑顔を向けて最後の気力を使った。
店長が心配してくれて、俺はそのまま帰ることにした。
「おにぃちゃんだいじょうぶ?」
家に着くと、俺の帰りを妹の里香が嬉しそうに迎えてくれたが、
包帯でぐるぐる巻きになった俺の手を見つけると一転、心配そうに顔を曇らせた。
「なに?兄ちゃん帰って来たの?」
奥から弟の陽介が顔を出した。
「おかえり。早いね兄ちゃん」
「おう、メシは?」
「冷蔵庫に煮物あるよ」
「もう食ったか?」
「うん」
「里香も?」
俺は足元にいた里香の顔を覗き込んだ。
俺の顔を見て里香はうん、と頷いた。
