17-セブンティーン-



保坂さんはあのピカピカの爪に

すごく興味を持ってる。
すごく心を奪われてる。


「ほんとっ?これね~テープで止めてるからほらっ!簡単にはずせるんだよ」


そう言ってお姫さまは、ぺりっとピカピカの爪をはがし

保坂さんの爪にかぶせた。


「すごいーきれいー!」

「亜美ちゃんにあげるよ!」

「ほんとですか?ありがとーうございますー」


保坂さんは幸せそうに笑った。
お姫さまも10本の指からピカピカの爪をはがし、保坂さんの指につけていた。

幸せそうだった。


俺にはあの爪の良さがわからないけど

保坂さんは、そのへんの《女の子》と変わらなくて

それが俺には衝撃的だった。


「保坂さん、西原くんプリント持って来てくれたんだって」


永野先生が、背後から声をかける。
俺はハッとして、保坂さんにプリントを渡した。


「ありが…」
「失礼しました」


ガラガラガラピシャッ


言い終わる前に保健室を出た。

感じが悪いのはわかっている。
でも気にしてる余裕がなかったし
気にする必要もないと思った。

年上のお姫さまに
同い年しかも同じクラスの宇宙人…

数分しか滞在していないのに
すごく居心地の悪い所だった。