「ほら手塚くん、ちゃんと西原くんにお礼言わなきゃ」
「別に頼んでません」
先生の呼び掛けに、奴は顔もあげない。
横着な返事以上に、横着な態度で、横着がまかり通っているコイツは…
まかり通り過ぎて何だコイツ?
宇宙人か?
「でももらったじゃない」
「ついでです。僕の分もあるみたいだし。それに」
宇宙人の目は俺をとらえた。
「コイツもついでだったみたいだし」
久しぶりにイラついた。
思わず拳を握り
「お前…」
ガラガラガラ
俺の言葉を遮って、登場したのは
「にしはらくん」
保坂さんだった。
俺を見て目をぱちくりしている。
するとシャッとカーテンが開く音がして
「亜美ちゃん!」とさっきの女子生徒が出てきた。
「せんぱい」
保坂さんがにっこり笑う。
せん、ぱい……先輩?
このお姫さま、3年なんだ…。
「せんぱい!つめきれいー!」
近づいてきたお姫さまの手を取り、保坂さんはまじまじと爪を見つめる。
頬が少し赤みを増し、目が輝いていた。
