しかし彼女は俺を見るなり、嬉しそうだった顔が一瞬で暗くなり、気まずそうにふせて行った。
しかもそのままベッドに向かって、カーテンをぴしゃりと閉めてしまった。
「ぷっ」
ん?
声がした方を見ると、高校生と思えない、小柄の生意気そうで嫌味そうな男子生徒が
一部始終を見ていたのだろう。
俺を見て笑っていた。
くっそ1年か。
顔面いっぱいに「嫌われてやんの」って書いてある。ムカつく。
その男子生徒はそのまま、広げていた本に再び目を落とした。
キューティクルで天使の輪まで出来てる、切り揃えられたさらさらな髪が尚更ムカつく。
「あら西原くん。どうしたの?」
奥から声をかけてくれたのが、養護教諭の永野先生だった。
「あっ、失礼します。保坂さんとあともう1人?にプリント渡すように頼まれて」
俺が言うと、ガタンと音を立てて、さっきの生意気そうで嫌味そうな男子生徒が立ち上がり
俺の方まで歩いて来て、俺を見ることなく、また口を開くことなく
俺の手からプリントをさっと1枚取り
また椅子に戻って、プリントに目を通すことなく鞄にしまった。
さてどこからつっこもうか。
