17-セブンティーン-



「あの子…保坂さん」


先生が再び口を開いた。


「意外とよく笑うだろう」


顔を上げると、先生と目が合った。


保坂さんの姿を思い浮かべると、いつもドロップアウトする姿や、うつむきながら教室に入っていく姿

そしてテスト前に、俺に向かって手を振ってくれた姿が最後に浮かんだ。


「それになお前たちなんかより、ちゃんと敬語使えるんだぞ~」


先生は得意気に笑っていた。


なんとなく、あんまりいい気はしなかった。

直接的なことは言わないが、先生は俺が保坂さんと仲良くなったと思っている。

それが今の俺には何だか抵抗があった。


だからといって、俺は保坂さんに意地悪をされたわけでもないから

きっとまた普通に挨拶したり話したりしてしまう。

なのに仲良しと思われたくないなんて、すごく矛盾している。

ただ、いい顔してるだけ。

当たり障りなく、いい人ぶっているだけ。


俺ってなんてイヤな奴なんだろう。