定食屋のドアをガラガラとあけると
「いらっしゃい!」
というおかみさんの元気な声が迎えてくれた。
もうすぐ2時を回る頃の定食屋は、お客さんはまばらで、少し落ち着きを取り戻している。
先生は適当に席に座り、水を2つ持って来てくれたおかみさんに
「生姜焼き定食、ふたつ」
と指を《2》にして見せると
「いつもありがとうございます」
とおかみさんは、伝票をおいて行った。
ここは、部活生も利用するらしく、安くてうまいと聞いたことがあった。
おごってもらう身分、メニューの決定権はなかったが、生姜焼きの他には、焼き肉定食、チキン南蛮定食、天ぷら定食など…
翔太は『唐揚げがうまい』って言ってたな。
「バイトはいつからだ」
「はい、あ、明日からです」
「じゃあ今日までゆっくりできるな」
「あ、はい」
俺は焦って水を含んだ。
「西原は、就職希望だよな」
やはり、担任と2人ともなると進路相談の流れになるか。
