17-セブンティーン-



「じゃあ…保坂さん、また月曜日ね」

「はい、さよなら、せんせ」


保坂さんは先生に頭を下げたあと、俺の方を見て


「またね、にしはらくん」


と、いつかのように手を振ってくれた。


「うん、またね」


俺も手を振った。


保坂さんは車に乗り込み、お母さんがまた頭を下げて、運転席へ乗り込んだ。

車はあっという間に俺たちの前を通り過ぎ、すぐに見えなくなった。


先生と2人になってみて初めて、気まずさを感じた。

意外だとか、どういう風の吹き回しかとか、言われるかもしれない。

じゃあ俺もこれで…と言う前に

先生が口を開いた。


「西原」

「へ、はい」

「昼はもう済ませたか?」


予想外の問いかけに、理解するのに時間がかかった。


「あ、いえ、まだ」

「そうか」


俺の答えに、先生は頷いた。


「今から近くの定食屋に行くつもりなんだが、つき合わないか?ご馳走するよ」

「いいんですか?」


先生は満足そうに歩き出した。


「あぁ、あそこの生姜焼き定食は絶品なんだぞ~食ったことあるか?」

「いえ、行ったことないっす」

「そうだったか。でも昼の相手が出来てよかった」


先生は笑った。