「あ…や…あの…古典のプリント…1枚なくて…」
かなりじっと見つめられたので、思わずしどろもどろで返事をすると
「今日もらった、プリント?」
と、彼女は首をかしげた。
「うん…あ…授業中やって…返ってきたやつ」
「ありそう?」
「いや…わからない…」
言いながら、視線を手元に戻した。
この人、しゃべれるんだ…。
なんだかすごい汗かいた。
いやいやと首を振り、止まっていた手を動かす。
プリントの方は、本当に見当たらない。
短いHRの時間にあわてて配ってたもんだから、きっとごっちゃになったんだろう。
1番後ろは、足りないだの余っただの調整をしなければならないので、尚更だ。
授業中、プリントは列ごと集めるため、名前が書かれたプリントは大雑把に列ごと返され、誰かが握ってるなんてことはよくある。
「これ」
再び顔をあげると、目の前に4枚のプリントがあった。