17-セブンティーン-



それから少し経って、ついにその日が来た。


学校の授業中、教室に教頭先生が現れた。
心臓がびくんと跳ねた。


『西原くんは…』


喉がカラカラになった。
けど、体が反応して立ち上がっていた。

教頭先生は俺を見て言った。


『お母さんがいらしてます。

すぐに帰る準備をして下さい』


門の前に、車があった。
黙って助手席に座る。


お袋の顔は見ない。声もかけない。
今車の中に張りつめてるこの緊張を、乱してはいけない。


『にぃちゃん…』


後ろから陽介が声をかけてきた。
ちらっと振り返る。


陽介の手を握ってやりたい。


チャイルドシートに固定されている陽介に手を伸ばしてみた。

するとすかさず陽介も手を伸ばして来て、繋ぐことが出来た。

少し微笑み、頷くと
どちらからともなく、手を離した。


無言のまま静かに病院に着き、お袋は里香を、俺は陽介を抱えて

走ってはいけない病院で、人目も気にせず走った。