17-セブンティーン-



俺は太ももの上で、ぎゅっと手を握った。
震えを止めるために。

悔しかった。


聞きたくなかった。
そんなにも遠い将来の話。

父さんのいない将来の話。


悔しかった。
わかってしまった。


父さんの覚悟は俺の覚悟なんかよりも、

強くて遠すぎて次元が違いすぎて


俺がどうこう出来るところではないと。


『英治…!』


父さんは細い腕を回して、俺を抱き締めてくれた。

震えは止まらなかった。
止まるどころか、


『う…っ』


涙が溢れてきた。


『う…うわぁぁぁあ……ん!』


10数年の人生でこんなに泣いたのは初めてだ、ってくらい涙も止まらなかった。


俺の覚悟なんてこの程度なのだ。


『とぉさぁ…とぉさぁん…!』


頬が痛くて、呼吸しづらくて
泣くって苦しい。

そんな俺の背中を、父さんはずっと撫で続けた。


『ありがとう…』


すぐ隣から耳に入る父さんの声を、ちゃんと聞きたいのに自分の声が邪魔をする。


『ありがとう…』