17-セブンティーン-



頭を丸めれば、父さんの気持ちに近づけるんじゃないかって思った。

辛い気持ちも、わかってあげられるんじゃないかって思った。

わかるはずない、とどこかで知ってても

諦めたくなかった。

父さんにも、諦めて欲しくなかった。

これは俺なりの覚悟だった。


父さんは『英治』と俺を呼び、俺の手をぐっと握った。


『今すぐ、の話じゃないぞ?
だから誤解しないで聞いてくれよ?

親って言うのは、子供よりうんと歳上なんだから、先に死ぬのは当たり前のことだ、わかるな?』


俺はただ、黙って頷いた。


げっそりと痩せて、決して顔色はいいと言えない父さんの、目と鼻が真っ赤だった。


『もしこの先、父さんに何かあったら、母さんや陽介や里香を

守ってくれよ』


俺が口を開こうとするのを


『今すぐの話じゃない』


と父さんは止めた。


『約束してくれるな?』


父さんは俺の目をじっと見た。

俺はちゃんと


『約束する』


と言葉にした。

すると父さんは安心したように微笑んだ。