自分がトイレ行きたかったから
おしめの話をしたのだろうか?
まぁいいか。
俺はまだ小さな陽介の手を取り、トイレに連れていった。
ある決意が、固まっていた。
お袋が退院して、赤ちゃんと父さんは初めての面会が叶った。
『里香』
父さんの腕の中ですやすやと眠る里香より、父さんの方が幸せそうだ。
家族が揃った。
そしてまた別のある日
いつも陽介を連れて行く父さんのお見舞いにひとりで行って
『英治ひとりか?』
と聞きながらも、嬉しそうな顔を見せてくれる父さんの前で、俺は帽子を取った。
『…英治!頭…』
俺は丸坊主にしていた。
父さんは口が開きっぱなしだった。
『父さんと一緒にしてみた』
『英治…』
『父さんと戦いたいから』
『…』
父さんは初めて口を閉じると
涙がたまると同時に喉が鳴り、
『ありがとう』
と言うと同時に涙が頬を流れた。
父さんは俺の頭を撫でてくれた。
震えていた。
