17-セブンティーン-



それから陽介はすくすくと成長し、俺たちはまるで父さんを入れて3兄弟かのように

騒がしく楽しい毎日はあっという間に過ぎていった。


彼が生まれる前の心配は杞憂だった。

父さんは相変わらず俺を大事にしてくれた。

陽介も俺を「にぃちゃん!」と呼び、慕ってくれた。

この上ない幸せだった。


そして俺が小学校卒業の年、
お袋のお腹に新たな命が宿った。


しかしその頃、父さんが倒れた。


父さんは入院生活を余儀なくされた。

毎日お見舞いに通ったが、だんだん痩せているのがはっきりわかる。

そしてある日を境に、父さんは病室でも帽子を被りだした。

それが幼心にショックだったのを覚えてる。


日に日に大きくなるお袋のお腹と

日に日に弱っている父さん。

無邪気な陽介のお守りをしながら
心をどこに向けたらいいのか、楽な方へ切り替える勇気も
苦しい方と向き合う気力もなく

普通の小学生では考えられないような、重たい心を知らずのうちに抱えていた。


そして無事に赤ちゃんは生まれた。