気まずい、と思ったとき
窓がきゅきゅきゅっと擦れる音がした。
音の方向を見ると、父さんがガラス越しに赤ちゃんを撫でるように、手を動かし
その度に、ガラスがきゅっきゅっと鳴った。
『かわいいな…!男の子だけどかわいいな…!』
『うん…!』
男の子であることを示す水色の札には《西原ベビー》。
西原ベビーはさっきからあくびばっかりしている。
愛らしい表情はどれだけ見てても飽きなかった。
赤ちゃんは陽介と名付けられた。
おしめは意外とそこまで至難の技でもなく
俺も父さんもわりとすぐに慣れて、難なく替えることができるようになった。
しかしこの陽介は、ちっちゃいのにかなりやんちゃで
おしめを替えるとき、キャッキャ言って足をバタつかせ
食べ物を口に運んでやると、ちょっと視線をそらした隙に
べろっと口から吐き出してはキャッキャ言って…
まるで人の困った顔が楽しいかのよう。
『男の子って…モンスターそのものだな…』
『うん…』
