雨による渋滞で、思った以上に時間がかかった。

やっぱり明日の朝でよかったような気がしてならなかった。


いくつかの教室にまだ電気がついている。

残って勉強をしている生徒がいるのだろう。

バスに揺られながら、まさか閉まってないよなと思ったが、余計な心配だったらしい。


こういうとき2階というのは有難い。

教室は電気がついていたので、うちのクラスにも居残り中がいるようだ。

俺は後ろのドアから入った。


目に入ったのは、窓の外を眺める保坂さんの後ろ姿だった。


彼女は俺を振り返った。
予想外の存在に、緊張して固まっていると、何も言わずにまた窓の方を向いた。

はっとして自分の机を見る。

まだ片付けきれていない引き出しの中を、床に全て出してしゃがみこんで探すが見当たらない。


「なにか、さがしてるの?」


声の方に顔を向けると、保坂さんが机の上から俺を見ていて

俺の返事を待っていた。