17-セブンティーン-



そして迎えた日
朝から陣痛の始まったお袋は、
父さんの運転で病院へ。


分娩室の前で2人、静かにその時を待っていた。


『父さんな…』


突然父さんが口を開いた。


『うん…』

『姉弟も親戚もみんな女なんだよ…』

『…うん』


ポツリポツリと呟くその先が、どこに行き着くのかが全く想像つかない。


『男の子だったらさ…

どうやっておしめ替えたらいいんだろな…』

『…』


お袋は赤ちゃんの性別を《お楽しみ》にしていた。

中からはお袋のいきむ声が聞こえる。


男の俺たちに出来ることは何もない。

あるかもしれないけど
おしめの心配ではないと思う。


『まぁなんとかなるか…』


もはや父さんは返事を必要としていない。
自分を落ち着かせるための独り言になっている。


それからどれだけ時間が経っただろうか。


おんぎゃあああーーー…


『!』


俺と父さんは同時に立ち上がって


『生まれた…!』


同時に言った。


お袋は病室で休み、しばらくして赤ちゃんと会えた。

男の子だ。


『男の子だな…』

『う、うん…』


虫の知らせ、というやつだったのだろうか。

俺と父さんの間で沈黙が流れる。