17-セブンティーン-



俺は毎回5冊借りて、休み時間、放課後、家で読み進めて

2、3日に1度は図書室に通っていた。


父さんはよく


『本が好きなんて…英治は頭がいいんだな』


と俺を褒めた。


良くも悪くも大人、ということで
父さんは俺との距離の取り方がすごく上手かった。


焦って近づくことも
露骨に避けることもない。


そしてまだこちらも若干7才くらいなのが功を奏して、慣れというものが生じた。

たわいもないことを話し、話しかけられるようになり


ある日「父さん」と呼びかけることが出来た。


さすがにそれは父さんもお袋も
そして俺自身も驚いて

でも父さんは「なんだ?」と笑ってくれた。


いつも父さんは笑って「英治」と、当たり前のように手を差しのべる。

俺もその手を当たり前のように握る。


窮屈さのない、自然な人間関係
これが家族なんだなと知った。


日に日にお袋のお腹は大きくなって
それは楽しみでもあり、不安でもあった。


せっかく父さんと仲良くなれたのに

もう話しかけてもらえなくなったら…


家族の温かみを知ってしまった以上、また暗い世界に戻るということを想像するのは、

最初からひとりぼっちとはまた違う悲劇だった。