「俺も、名前を外したからだって自分を責めないから」


俺はクラス委員を見た。

彼女はショックだったはずだ。
でも「パネルを見たい」と言った。

なぜだ?


「特に俺は彼女のこと、何も知らないけど…信じようぜ、保坂さん」


保坂さんってどういう人だ?

俺の知ってる保坂さんって…


「保坂さんじゃない…」

「え?」


俺は、自分の言葉を確かめるようにゆっくりと言った。


「そんな人じゃない」


クラス委員は目を丸くしたが、ハハッと笑った。


「うん、間違いないな」


自分だけで解決してしまって、言葉が足りなすぎるってことはわかっているけど、

俺の中で生まれた感情は、
クラス委員には伝わったようだ。


知らないことの方が多すぎる。
でもこの根拠のない…
いや、これで充分だ。
そんな気がした。

俺は彼の肩を叩いた。


「ありがとう!ハルくん」

「…」


突っ込みを待っていたら、彼は笑いだした。


「俺を本能的に"モト"じゃなくて"ハル"の方で呼ぶ人間って数少ないんだ」

「へー、レアだね」

「家族、及び親戚」

「…」


次は彼が俺の肩を叩いた。


「思考回路が何となく似てんだな」


そして、どちらからともなく吹き出して爆笑した。


もうすぐ昼休みが終わる。