「奈子みたいな声がするからさ、ドキドキしながら上がってきたよ」 少しだけ、はにかんだ笑顔を見せる。 優しい、和史の笑顔。 お福さんは、涙を堪えきれずに、 「私、先に帰ってます!」 そう言って、走り去った。