「つーか、痴漢されてんなら言えよな」
「だって…映画、見てたし…」
「映画より、三吉の方が大事に決まってんだろ? 俺が気づいたから良かったけど…」
「ど…して、気づいたの…?」
あたし、なにもしてないのに…。
「震えてた」
ぇ…。
「無意識だったかもだけど、三吉の手、震えてたから。ちょっと触れた時にね」
それ…だけ??
「三吉が俺を嫌ってんのは知ってるよ? だけど…俺だって男だから。
もう少し頼れよ」
「…ありが、と」
「でも、良かったぁ…マジで」
「ぇ…?」
「映画の途中で気づいて。あのまま見逃してたら、もっと酷いことされてたかもじゃん」
「…」
「三吉だって女だし、そういうの、怖いだろ?」

